▼011:阿部+水谷

「阿部って流れ星みたい」
「はぁ? なんだそれ」

 似てる。似てる。

(一生懸命願うのに、叶えてくれないところが)

 酷く似ていて、泣けてくる。

 でもきっと、伝わったら叶えてくれる、そんな阿部。


▼012:阿部

 水谷が嬉しそうにしているのが好きだ。笑っている顔が好きだ。それが自分に向けられたものでなくても。水谷は幸せでなければならないのだ。
 でも。

「しのーか!」
「あ、水谷君」

 へらりと相好を崩して酷く酷く嬉しそうに、照れも混じって篠岡に笑いかける水谷は嫌いだ。篠岡では、決してなく。

 っていう阿部。


▼013:花井+水谷

 休み時間、水谷は音楽を聞いてる事が多い。何やら色付きのでかいイヤホンで耳が隠れる。それはどこか、世界を拒絶している風に見えるのだ。
 思わず本人にそう零した時、水谷は一瞬きょとんとして、それは違うんだよと困ったように笑った。

「俺は誰かの声を聞きたくないから音楽を聞くんじゃないよ。俺から心が溢れてしまわないように、蓋をしてるの」

 水谷が耳を閉ざす理由。


▼014:阿部

 時折阿部は本気で考える。
 水谷の言う「好き」が許容量を超えた時か、「嫌い」と告げられた時か、自分はどちらで死ぬだろうと。
 心底、真剣に秤にかけて迷うのだ。

(結局どちらにせよ、致死量の愛で死ぬのに。)


▼015:水谷

 最後に言う言葉は決まってる。

「愛してくれて、ありがとう。」

 バイバイ。




戻る






PAGE TOP

inserted by FC2 system