take a side trip

[ 寄り道する(霜花落処) ]



 ミーティングで終わった日、のろのろ下校していると、小学生の一団とすれ違った。背なんて腰にも届かないような子等がきゃっきゃと無垢に笑いながら通り過ぎていく。
 昔より色取り取りのランドセルが眩しい。じわりと心に滲んだのは、回顧かそれとも嫉妬だろうか。
 そう思いつつ止まってい足を進めようと踏み出すも、続かない足音に首を捻って振り返る。風に揺れる茶髪が横顔を斑に隠しているのが見えた。その視線は進行方向を向かず俺を見ず、通り過ぎた小学生の一群に引き寄せられたままだ。
 チッと舌打ちをして、その茶色い頭を強打した。

「いってぇ! 何?!」

 水谷の顔がこっちを向く。それだけでえも言われぬ安心感。
 そうだ、それでいい。

「俺の隣で、別の事に心持ってかれてんじゃねーよ」
「なにそれ暴君!」
「うるせー」

 何を思ったのかなんて聞かない。何を思い出したのかなんて。なんで、あんな寂しげな顔をしたのかなんて、聞いてやるものか。

「…コンビニ寄ろーぜ」
「お腹空いてるの?」
「なんか行きたくなった」
「いーよ」

 行こっか、と今度は水谷から足を踏み出す。それを追う。
 コンビニに着いたら、何か奢ってやろう。アイスでも菓子でもパンでも、何か、何でも。それでさっきの寂しさが消えるのなら、何だっていい。

(ったく、こっちは甘いもんに心持ってかれてるだけで十分だっての)





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 20130302





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