come near dying

[ 危うく死にかけた(霜花落処) ]



「あちー」
「分かってんよ。わざわざ言うなクソレ」
「だってー」
「うっるせぇな、だったら寒くなるような話してやろうか?」
「えー…怖い話って事? それはちょっと…」
「ちげぇ。安心しろ」
「…ほんと? じゃあ、まぁ…」
「別れよう」
「………はい?」
「他に好きな奴できた。だから別れよう、水谷」
「…え? え…うそ…」
「うん、嘘。これでちょっとは冷えただろ…って泣いてんじゃねぇよ、ばかっ」
「う、そ? …ほんと、に、ッ、うそ…?」
「あぁ嘘だよっ、お前が暑い暑い言うからちょっと吃驚させてやろうとしただけ! 別れねぇし、お前は俺から離れんな! な?!」
「う、うん…嘘…よ、よかったぁ」

 へらへら笑う水谷の頬を、けれどまだ涙は流れ続けていた。傷付けたのだ。ざっくりと言葉が心を斬りつけて。

「…ごめん」
「ううん…でも、嘘ならあまり言わないでね」

 また泣いちゃうからと脅すように、でもまだ泣きながら水谷は笑う。

「うん、ごめん」

 言って抱き寄せた。
 暑いと言っていた水谷の躰は、冷えてカタカタと震えていた。





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 20130228
〈恋の温度差。〉





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