恋歌

[ side KING ]



 宝具に選ばれるのは業を持つ者のみ。我も彼奴もあの娘も、何かしら普通に生きるには不都合な躰をしている。
 その中でも、あの娘。
 初めて見た時は気づかなんだ。気づいてしまえば、あれは憐れみに値する。
 可哀想に、可哀想に、可哀想に。
 娘自身、気づいていないからこそ余計憐れみは弥増した。一等近くにいる彼奴さえ知らない。気づいたのはあの娘が嫌悪する我のみとは。しかもその嫌悪は僅かに滲む同情を無意識に感じ取っているかららしかった。
 面倒なことだ。面妖なことだ。
 ひっそりと思う。笑い合う二人を見遣りながら。その安穏さに目を細めながら。残酷にすぎる真実を舌の上で転がして。

(全く)

 そのどうしようもない憐れみは、どうにもならない恋に似ていた。





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