Guardian

[ 護るべきもの ]



 戦闘中に怪我をした。
 俺がじゃない、サーフがだ。
 敵の銃弾を掠めただけらしいのだが、傷が結構深い。
 らしくねぇと詰ってもごめんと言うだけで何時もの鉄面皮は崩れない。
 全くお前らしいと溜息を吐きながらも止血の為に腕を縛ったが、あまり効果はないようだった。
 他に道具もなく、このまま帰ってその途中に襲撃を受けるのも厄介だ。
 仕方なく他の奴らが来るまで動かずに待つ事になった。
 そういや血が出たら舐めれば良かったんだっけかとサーフの腕に流れる細い血の河を見て思い出し、何処で仕入れたかも分からないその知識の正誤を考えず、それを実行に移す。
 途端、何時もスカした奴の顔が驚きに崩れた。
 それが面白くて、ピクリ、と咄嗟に引こうと動いた腕を力で押さえつける。
 傷口に沿って舌を動かし血を吸い取るように口づけた。
 あぁどこか夜のあれに似ているなと思いながらも、血の味がそれを否定する。
 あれはこんな物じゃない。
 こんなものじゃ。

(…でも)

 この血の味。
 サーフの血。

(あぁ、これが)

 口の中で俺の唾液と混じったサーフの血を舌で転がす。
 こくり、と喉を鳴らして飲み込んだ。

(俺が護るべきものの血か)





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 20100111
〈戦場と同じ味にぞくりとする。それは歓喜かそれとも恐怖か。〉





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