虚偽申告
[ 彼は微笑んで言った ]ねぇ兄さん。
「ん?」
兄さんはどうしてそうなの?
「……リナリー。〈そう〉ってだけじゃ、分からないよ」
分かってるくせに。
「さぁね」
もう。バクさんの事よ。
「……バクちゃんが、どうしたって?」
バクさんはどうもしないの。どうかしてるのは兄さんの方。
「酷いな、リナリー」
思ってもない事言わないで。ちゃんと聞いてよ。
「聞いてるよ。バクちゃんに対して、僕が変だって言いたいんだろ?」
変って言うか、どうして、思ったまま行動しないのかなって。
「つまり?」
好きなら好きで良いじゃない。どうしてバクさんを傷付けるような事言うの。
「あーゆーのも愛って事サ」
自分でも思ってもないのによくそんな事言えるわね。
「……ねぇ、リナリー」
ん?
「確かに僕はバクちゃんが好きだよ。でも…」
…でも?
「好きってだけじゃ、愛せないの」
……うそつき。
20091218
〈愛してしまってることなんて、貴方が一番分かっていることでしょうに。(臆病者はこれだから)〉