紅的世界定義

[ one and the other ]



 御伽噺など信じない。
 例外は一つだけ。
 それ以外は全て紛い物。
 神話すらなく、だから神も存在しない。
 現実主義なのではない、排他主義なのだ。
 極めて純度の高い、拒絶という取捨選択。
 こればかりは兄が何と言おうと直らない。
 だからきっと自分は拒絶し続ける。
 それは息を吸うような気軽さで。

(その中に〈世界〉すら含まれたのなら、その時漸く、私は自由になれるだろう)

 でもきっと、そんな日は未来永劫私の元に訪れない。

 だから此処にいる。
 だからずっと、此処にいる。

(逃れられないまま、捨て切れないまま―――)

 この、世界に。





戻る



 20110909
〈喪う事を選ばないでくれと、何時か君が言ったから。 〉





PAGE TOP

inserted by FC2 system