sweet lip

[ 俺のサプリメント ]



 明日もバイト、明後日もバイト。
 バイトで生計を立てている俺に、休みはない。
 しょうがない事だけど。

「きっついなー…明日も早いし」
「だったらとっとと帰れ、城之内」

 俺の呟きを聞いていた海馬が煩わしそうに言うが、俺はとんでもないと首を振る。

「え、嫌だぜ。折角海馬に会えたのに」

 疲れてても無理してでも会いたいと思う相手。
 けれど当の海馬はくだらんとでも言いたげな表情だ。
 ―――つっめてぇの。
 そう唇を尖らせた時、思い出した。
 あぁ、そうだ。
 疲れてる時には甘いもの摂ったら良いんだっけ?

「かぁいばっ」

 俺の横に座っていた海馬をいきなり押し倒す。

「なっ、貴様いきなり何を…!?」
「俺疲れてんの。だからさ、そんな時は甘いもん摂ったら良いんだろ?」

 俺の言いたい事を、聡明な社長さんは悟ったらしい。

「き、貴様っ、明日はどうするのだ!?」

 さっき俺が明日は早いと言っていたのを覚えていたのだろう。
 焦ったように顔を赤く染めてそう言う海馬に。

「明日の事は、明日考えるさ」

 ニッと笑うと、ひどく呆れたような顔をされた。





 癒してちょうだいよ、疲れた俺を。
 ―――その甘い唇で。





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 20070811
〈人間が甘い訳ないだろうと正論を吐かれない程度には好かれてるって、自惚れても良いだろうか。 〉





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