プロローグ 戦いの記憶は、後にも先にもそれだけだ。 荒野と、血と、蒼い、空と。 剣の重さを覚えている。 鎧の有り難さを知った。 噎せ返る血の香り。 染み付いた紅。 佇む周りに伏す人は、誰一人として生きてない。 風の流れる音が嫌に大きく、己の呼気が些か煩わしかった。 戦場の記憶。 守る為に戦う強さと弱さ、そして守られることの歯痒さを知った。 だから誓った。 それでも願ったのだ。 誰に云うでもなく、己の心に。 私は何時何時までも。 騎士であり続けることを。 続き/戻る