the last love

[ この言葉で最後 ]



 君は僕の言葉を聞く度に眉を顰める。
 何が気に入らないんだか。
 あぁ、恥ずかしいのかな?
 良いじゃないか、ねぇ。
 好きな人に好きと言って何が悪い。
 あぁけれど君が嫌というのなら善処しよう。

「ヒート」
「…んだよ」
「最後に一回だけヒートに好きと言わせてくれたなら、僕はもう一言だって喋らなくても構わないよ」
「………」
「生涯ね」
「………」
「ヒート?」
「…………別に、嫌って、訳じゃ…」
「それは、ずっと好きって言っても良いよって事なのかな?」
「ッ、だってお前、俺が頷いたら本当にそれ実行する気だろ!? みんなになんて説明すりゃ良いんだよ! それに…!」

 あぁ、馬鹿なヒート。
 そんな約束を反故にする方法なんて、一瞬で幾らも見付かるというのに。
 優しいヒート。
 馬鹿なヒート。
 お人好し。
 純粋。
 どうやったらこんな人間ができるのか、僕には理解できないよ。

(だから、ねぇ)

「好きだよ」
「お前…!」
「はは、君が僕の声を失うのが嫌だと言うんなら、遠慮無く何回だって言わせてもらうさ」
「………」
「ね、ヒート」
「…………好きにしろよ、もう」
「当然」

(この言葉は、君で最後だ)

 君以外にこの言葉が響く事はもう一生有り得ない。





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 20100111
〈溜息を吐く彼に幸せが逃げるよと言えば、酷く微妙な顔をされた。〉





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