我等は戰場に立つ

[ 負う傷も与える死も、いつかの為に ]



「さぁ、何処へ行こうか」

 言ったのは、優しげな笑みを浮かべた騎士だった。

「…何処へ行っても同じだろ」

 言ったのは、興味なさそうな顔をした兵士だった。

「そうだな…」

 言ったのは、夢見るように目を伏せた義士だった。

「穏やかな風が吹いて、のばらの咲く世界に行きたいな」

 愛おしげに吐かれた言葉。
 良いね、と笑みを深めた騎士。
 何も言わず、けれど同意するように頷いた兵士。

「じゃあ」
「行くか」

 騎士と兵士、二人の声に。

「うん」

 頷いた義士。
 それこそが、彼の望んだ世界のように、輝いていて。





 けれどその手には剣。
 全身は血に塗れ。
 それは果たして、誰のか。

 彼等の去った後に残るは、血溜まりの、





戻る



 20100516
〈願ってる。望んでるんだ。何時か何時か、柔らかな風吹く草原で、三人、穏やかな時を過ごす事。だから俺は剣を握るよ。一振り一振りが、その一時に繋がるように願うから。(セシル…クラウド…)さぁ行こう。―――だから今日も我等は、戦場(いくさば)に立つ。〉





PAGE TOP

inserted by FC2 system