さぁ、夢を
[ go to the end ]「…どうした、ティーダ」
……何が?
「目が腫れてる。泣いたのか? 哀しい夢でも?」
……あぁ、そうかも。夢を、見たのかもしれないッスねー…。
「…本当にどうした? らしくない…」
らしくない、かぁ。
(らしいって、何なんだろう。
俺らしいって?
そもそも、俺って、何?
それすら、分からないのに。
困るなぁ。
って、フリオニールは、何も知らないんだけどさ。
言ってないし、俺自身、まだ曖昧だし。
あぁでも。
夢、なんだろうな。)
「ティーダ?」
なぁんもないッスよ! だいじょーぶ!
「…なら、良いが」
なぁフリオニール。
「ん?」
フリオニールの夢って、何?
「それはつまり、将来の、という事か?」
そう。
「…覚えて、ないな。此処での最終的な目標というのなら、カオスを倒す、という事になるけど」
味気ないッスねー。
「悪かったな。そう言うお前は?」
カオスを倒してー帰る事ッスかね。
「…あぁ、なるほど」
寂しい? 哀しい? ねぇ、フリオニール。
「馬鹿言うな。みんながみんなそれぞれの世界を持ってる。待っててくれる人がいる。だから、」
でも、本当は?
「………寂しいし、哀しい」
よく出来ました。
(夢を見たんだ、きっと。
可笑しいかな、可笑しいかもしれない。
それでも俺は、夢を見たんだ。
叶えられない夢を。
叶わない夢を。
寂しくて哀しい、夢を。)
ねぇそれでも。
(……幸せな夢を、見たんだ。)
20091229
〈瞼を閉じて想う。あぁ此処にいる。自分は確かに、此処にいるんだと。〉