好きだと言って困らせてみて
[ believe in my heart ]「好きだ」
「…クラウド」
「好きだ」
「クラウド…!」
好きと繰り返せば、フリオニールは頬を赤らめて止めろというように俺の名を繰り返した。
「だ、誰もいないからって…!」
今は同じテントに寝る事になった俺とフリオニールしか此処に居ない。
それでもフリオニールは恥ずかしいらしく、腰に腕を回す俺の口に手を伸ばして塞ごうとする。
その手を逆に握りしめて、手の平に口づけを落とした。
「ッ、クラウド!」
誰かに聞かれるのではと恐れ潜められた声は、困惑と羞恥に染まっていた。
そうできるのが自分だけだというのが、嬉しい。
「フリオニール」
声に愛おしさが滲む。
くすぐったげに身を捩らせたフリオニールは、何処か潤んだ瞳で俺を見て。
何かを待つように、唇を咬んだ。
それにまた、愛しさが募って。
(知ってる)
何度拒絶の言葉を吐こうが、フリオニールが心の底では俺の言葉を待っているという事。
(困ったものだ)
フリオニール自身は無自覚であるから、余計に。
(あぁ、だからこそ)
「好きだ」
きゅ、と寄せられた眉。
反して。
嬉しそうに、艶やかに浮かべられた微笑。
「―――愛してる」
20100120
〈困ってしまうけど、好きという言葉を待ってるの。〉