雨傘

[ 落ちる最初の一滴を待つ ]



 雨が降れば良い。

 灰色の昊を見た時は何時もそう思う。
 どんよりした雲。
 水分をたっぷりと含んで体が重そうだ。
 なぁお前だってそう思うだろう?
 自分の体が重いなぁって、思ってんだろ?
 ならいっそ、水分を全部零してしまえば良いのに。
 雨として、地上に全部降らしちまえば良いのに。

 そんな事を、伝わりもしない雲に言って。

(……そうしたら)

 そっとそっと。

(あいつを、迎えに行けるから)

 言い訳がないと素直に甘える事だって出来ない意地っ張りな君の事を、想うのだ。





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 20091217
〈雨を待つより迎えに行った方が早い事実は、見ないふり。〉





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