ache
[ 哀色景色 ]泣かないで、とその餓鬼は言った。
私は泣いてなんか居ないのに。
けれどその餓鬼はまた泣かないでとしつこく繰り返した。
苛々して、無性に腹立たしくて。
なのに言葉は何一つ出てこなかった。
ぶつけたい言葉は胸の中に蟠りを作っているのに。
その代わりに、喉に微かな痛みが走る。
無視できそうな小さな痛みは、何時しか規則的に痛みを訴えてきた。
何なんだ。
苛々する。
腹が立つ。
泣かないで。
その痛みもその言葉もその餓鬼も。
泣いてない。
泣いてない。
こんなの。
(涙だなんて、認めない。)
20091228
〈泣くな、と貴様が云えば、それは多分本当になるだろうに。(何故いないんだ、馬鹿が)〉