慣れていく

[ なかった振りして生きるのなら、痛みに喘いで生きると、嘗てそう決めたのに。 ]



 ……慣れる筈なんてないと思っていた。
 それが在る事は当然の事で。
 右手のようなもの。
 足のようなもの。
 目のようなもの。
 心臓のようなもの。
 それらがなくなればどうしようもないように。
 自分はどうしようもない状態で生きていくのだと。

 けれど、どうだ。

 慣れてきてしまった。
 ない事に。
 居ない事に。
 段々。
 慣れてきて。

「…嫌だな」

 シンジの居ない世界になんて、慣れたくなんかなかったのに。





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 20100128
〈君の居ない世界に、壊れてく。〉





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