佇んで、そして。

[ Nein. ]



 冷たさをはらんだ風が肌を撫でて通り過ぎた。
 久々の筈なのに、妙に綺麗だ。
 誰か来たのだろうか。
 そんな関係のない言葉は、心の中に勝手に浮かんでは消えていくのに。

「……困ったな」

 もう大丈夫かと思ってた。
 けれどまだ駄目か。
 もう年を幾つも経たというのに、まだ。



「未だにお前に掛けるべき言葉を、俺は知らないのか」





戻る



 20100114
〈想う事はあるはずなのに、墓前に立つと何故か出てきてくれない。あぁだから。心の内身体の外の関係なく、言葉を亡くして佇むしか、なくて。(それはなにも終わっていないことの証だと、彼は知らないままでい続ける)〉





PAGE TOP

inserted by FC2 system