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[ 好きだからこその罪 ]「……バクラなんか、嫌いだ」
御伽はそれだけ言うと、極力俺から遠ざかってソファの端に膝を抱えて座り込んだ。
俺はその横に座って御伽の顔を覗き込む。
勿論、見えないように逸らされたけど。
吐きたくなる溜息を堪えて言う。
「悪かったって。あれは確かに俺が悪かった」
「………俺、ホント、死ぬかと思った」
「悪ぃ」
「……君の所為だからね」
「もうしねぇから」
そう言っても御伽は顔を上げようとはしない。
それも仕方ないと思ってしまうくらいに、本当に今回は俺が悪かった。
けれど。
「悪かった、俺がな。でも、お前に恥かかせたくてやったわけじゃねぇ。それだけは言っとく」
一緒に買い物をしていたら、御伽がとある店先のショウウィンドウを見て綺麗だと笑った。
気が付いたら俺は御伽にキスしてた。
多分、その笑顔の方が綺麗だったんだ。
けれどそんなものは言い訳でしかなく。
時間帯は昼間、交通量もそこそこ。
その上俺達二人の容姿が合わされば人目につかない訳がなくて。
御伽は怒ってしまったという訳だ。
「な、いい加減機嫌直せよ」
「…知らない」
まぁ、今は怒っているというか。
照れてるんだな。
「好きだゼ、御伽」
「……ばぁか」
20070814
〈口の悪い恋人にやれやれと白旗を揚げる。それでも少しだけ俺との距離を縮めてくれたから、よしとしよう。〉