reincarnation
[ 何度でも ]今度こそはと期待して。
そして裏切られる事に慣れてしまったのは。
何度目からだっただろう。
最初、極彩色のツンツン頭を持つ男の後ろ姿を見つけた時。
懐かしさを感じるよりも先にまたか…と言う思いがしたのは否めない。
けれど、会えて嬉しいのは事実で。
そして落胆したのもまた、事実だった。
『…誰だ?』
とあの男は言った。
その時、あぁまたかと、ただ無感動にそう思った。
またお前はどこかに記憶を落としてきたのかと。
何度会おうと。
何度相見えようと。
いつも覚えているのは俺だけで。
お前はいつも、真っ白のまま。
何度歴史を繰り返そうと。
その歴史を語れるのは俺だけで。
お前は自身がその手を血に染めた事すら覚えていない。
そしてまた、この時代、ここで出会えた事すらも。
お前の記憶はリセットされ、また白紙へと帰すのだろう。
俺の紙はもう黒い字で隙間なく汚れているというのに。
(…けれど)
分かっていても。
お前を求めずにはいられない。
同じ事を繰り返さずにいられない。
次に出会った時。
お前が俺の事を忘れていると、分かっていても。
だからどうか。
俺を精一杯愛して。
この時代、ここで出会えた事を、俺の中へ刻み込め。
お前が忘れる代わりに、俺が覚えているから。
お前の分も、記憶しておくから。
(だからどうか)
どうかどうかどうか。
今この時。
(精一杯、俺を愛して。)
20090703
〈愚かだと笑われても良い。それでも、オレは。〉