little time

[ 時が進む。僕等も進む。それは君を喪う事だと、知っているのに ]



 触れる肌が愛しいと思った

 深い蒼が潜む瞳が綺麗だと思った


 時計の音が、ひどく煩わしかった





  進む刻に、思うのは





 昼間は出ない代わり、夜はオレの時間だった
 闇が広まる夜

 その中で見つけた―――真実

 月の光で知った、お前の肌の白さ
 星の輝きで見た、サファイアのようなブルーアイズ
 その瞳の中に見た

 孤高の気高さ

 それを見るのが好きだった
 どれほど快楽を与えられようと
 どれほど声を上げようと

 失せることのない、プライド

 それを見て、またオレはお前に口づける
 そのプライドをへし折ってやりたいのか
 ただ乱れるお前を見たいのか
 分からないまま




 そのまま溺れてしまおうかと
 そのまま時を止めてしまおうかと

 出来もしないことを思った





 願っても
 望んでも

 やってくる朝

 闇の中に消えてしまいたいと
 お前と共に
 溺れてしまいたいと
 思うのに





 進む刻が
 動く時計が

 ひどく、煩わしかった





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 20060401
〈それでも時が進まなければ、君と出会うこともなかったのだ。〉





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